秋田・由利本荘市で音楽・福祉・地域支援を融合した新就労支援モデル「ルフラン」が11月開所
ハーモニックス合同会社(秋田県由利本荘市)は2025年11月、「音楽×福祉×地域支援」をコンセプトとする就労継続支援B型事業所「ルフラン」を開所した。元引きこもりの経験を持つ代表が考案したこの新しい支援モデルは、「働く」と「表現する」の両面から、制度の狭間にいる若者の自立と生きがい創出を柔軟にサポートする。

ルフランは、代表の佐久間玲奈氏が自身の引きこもり経験と、音楽活動を通じた社会復帰の成功体験を基に設立された。既存の就労支援ではカバーしきれない、生きづらさを抱える若者たちに焦点を当て、単なる就労サポートに留まらず、自己表現の場と地域とのつながりを提供することを目的とする。
特に、音楽活動の力を活用することで、他者とのコミュニケーションや自己肯定感の向上を促す。秋田県の「あきた若者チャレンジ応援事業」に特例採択されており、実証実験として開催された音楽ワークショップでは、参加者の70%が継続利用を希望するなど、その支援効果と地域ニーズの高さが示された。秋田県が抱える人口減少や孤立の課題に対する新たな解決策としても注目を集める。
同事業所が提供する支援プログラムは、利用者の状態や希望に応じたオーダーメイド支援を実現するため、以下の4つの柱で構成されている。
①音楽・表現活動プログラムとして、演奏や創作活動を通じて利用者が自分を表現する場を提供し、自己肯定感を育む。
②よろず便利屋サービスを通じて地域の高齢者世帯への生活支援を担う。利用者が地域に貢献する機会を持つことで、地域との結びつきを深めることを目指す。
③ユニバーサル就労支援として、利用者のペースに合わせ、段階的に地域企業での実習を実施する。無理なく社会参加を促進する就労支援を提供する。
④アウトリーチ支援として、外出が困難な人に対しては訪問やオンラインでのサポートを行う。支援を「届ける」仕組みを構築することで、支援の枠組みからこぼれ落ちがちな人々にも対応する。
これらの多角的なプログラムを組み合わせることで、「音楽は苦手でも地域の仕事なら」「仕事の前に音楽活動なら参加できそう」といった多様なニーズに応える。誰もが自分らしく地域社会とつながり、自立できる環境を提供していく方針である。

