【第一回仙台ICTピッチイベント開催】東北から世界を目指す起業家6名のビジネスプランに心躍る!最優秀賞は株式会社FaBoの「自動運転人材育成のAI Robot Car」
仙台ICTピッチコンテストがGlobal Lab SENDAI(GLS)とNTTドコモ・ベンチャーズ主催、仙台市と東北最大級のシェアオフィスenspace共催で6月21日(金)に開催された。本イベントは東北発のICTビジネスを発展させることを目的に4月26日~5月31日まで参加企業を募り、1次選考を通過した6社がベンチャーキャピタル(VC)の審査員に対してプレゼンを行う。審査は事業内容、市場性、競合比較、事業計画などから評価をし、最終審査に残った6社に対しては審査員からのフィードバック、将来的な協業、出資等の可能性も模索することができる。
■審査員
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長 稲川 尚之氏
株式会社KVP ベンチャーキャピタリスト 萩谷 聡氏
REAPRA Ventures 佐藤 克唯毅氏
株式会社MAKOTO 取締役 穂積 隆道氏
東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社 投資部部長補佐 片桐 大輔氏
東北から未来をつくる参加企業6社が熱のこもったプレゼンを披露!!
1社目に登場したのは株式会社Fishers。今年2月に開催された東北最大級のアプリコンテスト『DA・TE・APPS!2019(ダテアップス2019)』ではSNSを活用したグルメ探しサービス「Glip」で満場一致の評価を受け、優勝した現役東北大学生チームだ。
彼らのサービスの最大の特徴は「Glip」アプリをインストールするとfacebook、Twitter、instagramで見かけた気になるお店をクリックするだけで、「Glip」アプリに登録されて個々のオリジナルのお店リストを簡単につくれること。機能としてはお店のマップ表示や、実際に本人がお店に近づいた時に通知がくる設定もでき、SNSでより楽しくお店を探すことができる。代表の鈴木 蒼生さんは「SNSで友人が投稿したお店を『いいね』することは多いものの、実際に行ってみたいと思った時に探す手間がかかる。また、SNSの投稿には飲食店の料理写真が多数あり、投稿経由でお店を知って行きたくなる人も多いので、そのようなユーザーに利便性の高いサービスを提供していきたい」と強く語った。
2社目は福島県会津若松市に拠点を置く株式会社Eyes,Japanの「現実とWebを融合したテクノロジー自転車 FUKUSHIMA Wheel」が登場。FUKUSHIMA Wheelは、復興庁の「平成25年度 企業連携プロジェクト支援事業」に採択されたプロジェクトである。この自転車の特徴としては3つで、一つ目は自転車と連動したアプリでシェアサイクルのプロバイダへAPIを提供、2つ目は観光・環境ビックデータをクラウド上で集めサブスクリプションでデータ提供、最後に3つ目として車輪型広告事業で自転車のペダルを漕ぐことでLEDが点灯し、その残像でメッセージやイラストなどが表示される。
現在では海外ユーザーを中心に1000台ほど提供しており、今後は法人向けにも展開するため資金調達を考えているという。FUKUSHIMA Wheelを観光地に置くことで、レンタサイクルとして各地の観光客に無料で利用してもらい、世界中の環境ビックデータがクラウド上に集まる仕組みや広告モデルを強化していく予定だ。代表の山寺純さんは「東日本大震災で福島会津若松の観光客が9割減ってしまい、何かできることはないかと考え、観光客向けにレンタルサイクルを無料で提供しようと思って始めた事業。復興に向けて何かしたい思いから生まれたアイディア」と事業への想いを強く語った。
3社目は株式会社hyoi。プレゼン内容は今すぐ行きたいところがある人(ユーザー)と景色をリアルタイムで撮影してくれる人(アバター)のプラットフォーム「hyoi」。代表の渡邉さんは「ユーザーは今すぐ世界中の観光地などの場所に行きたいと思った時に、その場所の景色がリアルタイムで見れる、アバターは撮影や情報を発信することで報酬が入る仕組み。また、将来的にはデロリアン(※タイムマシン)をつくりたいと思っていて、世界中で撮影した景色や位置情報を全部保全できるようにし、リアルタイムのグーグルアースをつくり、過去の景色も見れるようにしたい」とビジョンを語った。
4社目の株式会社FaBoは、AI Robot Car事業をプレゼン。AIロボットカーのキット化と、学校機関向けのオンラインカリキュラムの提供。将来的にはAIロボットカーレースの展開も考えている。代表の佐々木 陽さんは「今年AIロボットカーのシンギュラリティ―が到来すると言われている。ターゲットとしても大学、高校、高専向けにディープラーニングトレーニング教材の提供と、自動車メーカーへ研究開発の試験車として利用してもらうことを考えており、世界でニーズが高まっているAI学習による自動運転人材育成を目指す」と事業の成長性を語った。
5社目は株式会社funky jump の「会話を自動で記録TAISY」。このサービスはコワーキングスペース、HRテックマーケット向けにつくられたもので、コミュニティーマネージャーの人の業務を削減して、ビジネスの仲介に注力できるようにする。仕組みとしては、クライアントと会話をした際に、打ち合わせ内容の音声データを自動で記録しリストを作成できる。メモの工数削減と適切なログ管理で、コミュニティーマネージャーの方がビジネスマッチングに注力できる環境づくりを目指す。代表の青木 雄太さんは「人の記憶は150名くらいまでしか覚えることができない。その限界を突破することで社会に新たな情報革命を起こしたい」と意気込んだ。
最後6社目は株式会社イトナブの「無料のプログラミング学習 ナブカツLAB/ナブカツ」。代表の古山 隆幸さんは宮城県石巻出身で埼玉、東京に出た際、ITの面白さに出会い、現在は石巻市に戻りプログラミング教育を行っている。古山さんは「地方の学校の先生はIT情報に触れる機会が少ないため、子供たちにとってもプログラミングやITについて学ぶ機会が少ない。イトナブは無料で学生にプログラミングを教えるラボを提供する」と語る。ビジネスモデルとしては地域で活動しているIT企業にイトナブのリソースをラボとして提供する代わりにスポンサーとして資金提供をしてもらうことを想定している。参加企業には育成した人材を優先的に紹介し、地域のIT人材がそのまま働ける地元で働ける環境づくりを目指す。
最優秀賞は株式会社FaBoの「自動運転人材育成のAI Robot Car」
全体的にレベルの高いピッチとなる中、優勝企業には株式会社FaBoの「自動運転人材育成のAI Robot Car」が選ばれた。同社の佐々木代表は「優勝賞金で3Dプリンタを増設したい。こういうイベントが地方であると盛り上がるのでよかった。周りのプレゼンのレベルが本当に高かった。」とピッチイベントについての感想を振り返った。
審査員からは「どのチームも甲乙つけがたいレベルの高いピッチで面白いアイディアの数々を聞けて本当に良かった。仙台のレベル自体も数年前と比較して上がっており、今後は仙台のベンチャーの色をつくって、イグジットなど多くの実績づくりに貢献していきたい」と東北から世界を目指すベンチャー企業支援に意気込みを語った。
第一回仙台ICTピッチイベント概要
■開催日
2019年6月21日(金)15時~18時
■主催
グローバルラボ仙台、NTTドコモ・ベンチャーズ
■共催
仙台市、enspace
■審査員
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長 稲川 尚之氏
株式会社KVP ベンチャーキャピタリスト 萩谷 聡氏
REAPRA Ventures 佐藤 克唯毅氏
株式会社MAKOTO 取締役 穂積 隆道氏
東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社 投資部部長補佐 片桐 大輔氏
■最終審査企業6社
株式会社Fishers 「SNSを活用したグルメ探しサービスGlip」
株式会社Eyes,Japan 「現実とWebを融合したテクロジー自転車 FUKUSHIMA Wheel」
株式会社hyoi 「撮影する人と行きたいところがある人のプラットフォームhyoi」
株式会社FaBo 「自動運転人材育成を目指す AI Robot car」
株式会社funky jump 「会話を自動で記録TAISY」
株式会社イトナブ 「無料のプログラミング学習 ナブカツLAB/ナブカツ」