「Futuremakersアワード」開催!最優秀賞は、猪苗代湖の厄介者を観光資源に変える「猪苗代湖産ひし茶 いなびし」長友海夢さん
NPO法人ETIC.(エティック、東京都渋谷区)は、スタンダードチャータード銀行東京支店(東京都千代田区)と連携して、地域での社会起業に特化した6ヶ月間の起業家育成・事業構想支援プログラム「ローカルベンチャーラボ2022」を実施している。2022年12月、「ローカルベンチャーラボ2022」の受講生のうち、U-35メンバーを対象にした地域社会における課題解決の可能性、収益性に優れた事業を表彰する「Futuremakersアワード」を実施した。
最終審査では、スタンダードチャータード銀行東京支店での社員投票を実施。福島県猪苗代町の地域おこし協力隊として活動中の長友海夢(ながとも ひろむ)さんが挑戦する、猪苗代湖の水質汚濁の要因の1つである菱(ひし)の実から「猪苗代湖産ひし茶 いなびし」という商品を開発し、厄介者を観光資源に変える事業(株式会社いなびし)が最優秀賞を受賞した。
今後は2017年にスタートした、地域での社会起業に特化した6ヶ月間の起業家育成・事業構想支援プログラムである「ローカルベンチャーラボ」。地域課題を解決するため、先輩起業家をメンターにしたゼミ形式で、様々な年代・活動地域・専門性をもつ同期生と切磋琢磨しながら事業構想を磨いていく。また、ローカルベンチャーを輩出してきた先進自治体等が連携し、参加者をサポート。プログラム期間中には各地で活躍する専門家や実践者をゲストに招いた特別講演会も開催される。
株式会社いなびし公式ホームページ:https://inabishi.co.jp/
ローカルベンチャーラボ公式ホームページ:https://localventures.jp/
≪商品詳細と受賞ポイントについて≫
■「猪苗代湖産ひし茶 いなびし」事業概要
水草の菱は、近年猪苗代湖の北側の湖畔沿いで増殖を続けており、増えすぎた水草は秋ごろになると腐敗し、湖に留まることから水質汚濁の要因となり悪臭をも放つ。現在、猪苗代湖では「菱刈取船」の導入やボランティア活動を通じ、毎年100トン近い菱が回収され、そのほとんどが推肥化もしくは処分されている。財政が厳しく人手の高齢化も進む地域の未来を考え、長友さんは菱を厄介者から資源に変えるべく、菱の実を活用した商品開発に挑戦。「猪苗代湖産ひし茶 いなびし」を開発し、道の駅猪苗代や地域の宿泊施設、飲食店を中心に2022年3月から販売を開始した。
■受賞のポイント
「学生時代に猪苗代周辺のスキー場を練習拠点として競技スキーに挑戦してきたという長友さんの原体験と事業、ビジョンが明瞭につながったうえで、お茶という具体的なプロダクトをつくり、今後の展開も描いている」「水質汚染の原因となる水草を駆除し、製品化だけではなく、SDGs教育旅行など地域に根差している活動をしている。製品として全国に大きく広がるタイプの事業ではないかもしれないが、商品開発や教育・交流コンテンツとの掛け合わせなどの展開に可能性を感じる」等といった点が評価され、最優秀賞受賞に至った。