東日本大震災の実体験から生まれた絵本 「おたがいさまのまちふくしま」5月12日出版
特定非営利活動法人チームふくしま(福島県福島市)は、東日本大震災から15年となる2026年、震災当時の体験と復興の歩みをもとにした絵本『おたがいさまのまちふくしま』を出版した。本書は、福島で育まれた「困ったときはお互いさま」という支え合いの心や、受けた恩を次の誰かへつなぐ「恩送り」の精神を、子どもから大人まで分かりやすく伝える作品である。震災を直接知らない世代が増える中、被災地で実際に起きた出来事や人々の助け合いを物語として残し、未来へ継承することを目的に制作された。

『おたがいさまのまちふくしま』は、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに福島で生まれた、人と人との支え合いを描く絵本である。震災当時、福島県では多くの人々が避難所生活を送り、先の見えない日々を過ごした人々とその子どもたちが不安の中で日々を過ごしていた。そのような状況下でも、互いを思いやり、助け合う行動によって希望が生まれていった。
本書の原点には、「お互いさまの街ふくしま」の創設者であり、チームふくしま副理事長を務めた故・吉成洋拍氏の実体験がある。震災直後、福島市内で炊き出しを行っていた吉成氏は、被災したとある女性との一杯の豚汁をめぐる出会いを通じて、支援とは一方的に与えるものではなく、人と人が分かち合うものだと気づいた。この出来事が「支援する側・される側に分かれない」という考え方へつながり、後の「お互いさまの街ふくしま」の根底となった。
また、吉成氏は「恩は返すものではなく送るもの」という考えのもと、誰かのために食事代を先払いする「お互いさまチケット」の仕組みを広げようとした。絵本では、こうした想いを子どもたちにも届く形で表現し、震災の記憶だけでなく、思いやりや恩送りの大切さを伝えている。防災教育、人権教育、道徳教育、地域福祉を考えるきっかけにもなる一冊である。
本書は、絵をかぶさきりょうこ、文を中川たかこが担当し、吉成洋拍氏の想いをもとに、NPO法人チームふくしまの半田真仁氏が監修した。価格は税込2,500円。発売日は吉成氏の五回忌にあたる2026年5月12日である。

