東北大発バイオテックbionto、6,000万円の資金調達を実施。独自のイオントロニクス技術で革新的デバイスを開発
東北大学発のバイオテックスタートアップである株式会社bionto(宮城県仙台市)は、シードラウンドにおいて総額6,000万円の資金調達を実施した。PARTNERS FUND(東京都渋谷区)を引受先とするJ-KISS型新株予約権による資金調達と、日本政策金融公庫および七十七銀行からの創業融資を組み合わせたもの。
同社は2025年3月3日に設立された企業で、独自の「イオントロニクス技術」を用いて医療とヘルスケア分野のイノベーションを目指している。代表取締役の妹尾浩充氏は映画業界で20年、ITスタートアップでの事業開発を経験した後、仙台に移住。NEDOのマネジメント人材マッチング事業で東北大学ベンチャーパートナーズの第1号客員起業家として活動し、20人以上の研究者とディスカッションを重ねた末に同社を創業した。
同社の基盤技術は、東北大学大学院工学研究科の西澤松彦教授が開発したイオントロニクス技術。イオンとエレクトロニクスを組み合わせた学際的技術で、体液に含まれるイオンの動きを利用して情報やエネルギーを制御・伝達する。西澤教授は最高科学責任者として共同創業者に名を連ねている。
現在開発を進めているのは、皮膚から非侵襲的に薬剤を投与できる画期的なドラッグデリバリーシステム。電気浸透流を生成することで、多量・高速の薬剤投与を可能にする高速浸透ニードルデバイスだ。医薬の局所・全身投与といった医療分野での活用に加え、スキンケアや頭皮ケアなどヘルス&ビューティ分野への応用も期待されている。さらに、皮下の組織液採取も可能になることから、生体信号の高感度検出に向けた研究開発も同時に進行中。
従来の注射は医療機関での処置が必須で患者の通院負担が大きく、飲み薬には嚥下の問題や肝臓での初回通過効果による課題があった。同社のデバイスは、こうした制約を解決する革新的な解決策として位置づけられている。
調達資金はホームヘルスケアデバイスとしての製品開発推進、エンジニアや企画開発人材の採用強化、ヘルスケア・製薬・医療機器企業とのアライアンス構築に充当する予定。政府のスタートアップ5か年育成計画における産学連携の実践例として注目されている。
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