サントリーと東北大学が共同研究所設立!“水と健康”の科学的解明に挑む
サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社(東京都港区)と東北大学(宮城県仙台市)は、2025年4月、東北大学星陵キャンパス内に「水と健康」をテーマにした共同研究所を設立し、本格的な研究活動を開始した。
水は人間の生命活動に欠かせない存在であり、健康との関係を科学的に解き明かすことは、将来の医療や生活習慣の見直しにも大きな意味を持つ。今回の連携は、学術研究と企業の知見を融合し、次世代の健康社会を支えるための基盤づくりとなることが期待される。
同研究所は、水が人間の生命維持や体温調節、身体活動において果たす役割に加えて、生活習慣や社会環境が体の中の水にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的としている。具体的には、水の摂取量と体内での代謝との関係や、日常的に水をどれくらい飲むことが健康にとって望ましいのかといった点を科学的に解明し、健康づくりに役立つ新たなデータの収集を目指す。
取り組みの背景には、サントリーグループが掲げる「水と生きる」という企業メッセージがある。同社は長年にわたり、水に関するさまざまな研究と情報発信に注力してきた。欧米の一部地域では、水が栄養素として認識され、食事摂取基準において摂取量が定められている。日本国内でも近年、水の重要性への関心が高まっており、今回の研究はその流れに沿うものとなっている。
研究活動には、東北大学大学院医工学研究科が持つ医学と工学を融合した学際的な知識と、SICが蓄積してきた体内の水代謝に関する最先端の研究成果が活用される。運営体制としては、特任教授でサントリー生命科学財団事務局長の河島洋氏が総括責任者を務め、同研究科および医学系研究科の山田陽介氏が運営支援を担う。
研究所の設置期間は3年間で、2028年3月31日までを予定。東北大学が提供する共創研究所制度を活用し、大学内に企業との連携拠点を設けることで、共同研究の推進や若手人材の育成、大学発スタートアップとの協力など、幅広い活動が展開される見通しだ。
この連携によって、水が人体に及ぼす影響に関する理解が一層深まるとともに、将来的には日本でも水の摂取基準が見直されるきっかけとなる可能性がある。さらに、健康維持や病気予防に役立つ新たな指針やライフスタイルの提案につながることが期待されている。