秋田・大館発TOMUSHI カブトムシ活用で日本初の「広域認定農業法人」承認
秋田県大館市発のカブトムシベンチャー、株式会社TOMUSHI(秋田県大館市)は「広域認定農業法人」として承認された。この認定はカブトムシを対象としたもので、日本初となる。また、世界的にも前例のない事例である。同社は秋田県大館市に加え、福岡県大木町、福島県田村市、福岡県筑後市を含む4地域で認定を受けた。この承認は、「昆虫×循環型農業」という全く新しい農業モデルの誕生を意味する。

世界初の試みとなるこの農業モデルは、従来の畜産や作物栽培とは一線を画す。カブトムシの飼育にキノコの廃菌床などを餌として活用できるためだ。これにより、資源の循環を実現しつつ、飼育コストの大幅な抑制が可能となる点が最大の特徴である。
カブトムシは、次世代のタンパク源として世界的に注目を集める昆虫タンパクの候補だ。高い栄養価を持つことが確認されている。さらに将来的には、医薬品原料としての可能性も期待されている。用途の広さという点でも強みを持つ生物資源である。
今回の広域認定農業法人の承認によって、カブトムシ産業は本格的な農業分野として成長段階へ進む。同社は今後、農業機械や施設導入の補助、低金利融資、農業経営基盤強化準備金制度といった公的支援を受けられるようになる。これにより、カブトムシ産業の規模拡大と基盤強化を加速させる見通しだ。
この新しい産業モデルは、大館市から全国へ広がる可能性がある。地域経済への波及効果や、新しい循環型バイオ産業の創出が期待されている。
同社は、「昆虫×資源循環」をテーマに事業を展開するベンチャー企業。主な事業内容には、昆虫資源循環事業のほか、イベント企画運営、教育事業、地域活性化支援が含まれる。今後も、新たな市場の可能性を切り拓く方針を示している。地方から世界へと、持続可能なビジネスモデルを発信していく構えだ。カブトムシという身近な生物を起点に、廃棄物ゼロの社会と次世代への環境教育の実現に向けた挑戦を続ける。

