AIで放射線治療の地域格差解消へ アイラト株式会社が東北ニュービジネス大賞でインパクトスタートアップ大賞受賞

 AI技術を用いた放射線治療計画支援ソフトウェアを開発するアイラト株式会社(宮城県仙台市)が、2026年1月28日に開催された「第31回東北ニュービジネス大賞」においてインパクトスタートアップ大賞を受賞した。地域発の革新的技術で医療課題の解決に挑む姿勢が高く評価された。

AIで放射線治療の地域格差解消へ アイラト株式会社が東北ニュービジネス大賞でインパクトスタートアップ大賞受賞

日本では高齢化の進行に伴い、がん患者数の増加が見込まれている。がん治療の中でも放射線治療は身体への負担が少なく、高齢者にも適した治療法として重要性を増している一方、専門医不足や施設間格差が大きな課題となっている。特に高度な治療効果が期待される強度変調放射線治療(IMRT)は、治療計画作成に専門的知識と長い時間を要する。その結果、医療従事者の負担増加や治療品質のばらつきを招き、普及の障壁となってきた。

アイラトは、こうした構造的課題の中核にある「治療計画」プロセスに着目し、AIによる自動化と標準化を進めている。同社が開発する放射線治療計画支援ソフトウェアは、従来6時間以上を要していた治療計画作成を約30分に短縮し、業務効率の大幅な改善を実現する。

AIが標準化された治療計画を提示することで、医師や施設ごとの経験差による治療精度のばらつきを抑制し、地域を問わず均質で高水準な放射線治療の提供が可能となる。これにより、限られた医療資源の中でも、より多くの患者に高度な治療機会を届けることができるとしている。

受賞にあたり、アイラト代表の角谷氏は、社名である「AiRato」にはAI、放射線治療(Radiation therapy)、東北(Tohoku)から医療の未来を切り拓くという思いを込めていると説明。その上で、放射線治療分野が抱える人材不足や治療計画作成の負担といった課題に、AIで挑んできたとコメントした。今回の受賞を励みに、東北のみならず世界中のがん患者に質の高い放射線治療を届けていく考えを示した。

審査員からは、世界最先端のAIを用いた放射線治療研究を着実に事業化へと結び付けている点や、今後の薬事承認を経た展開への期待が示された。アイラトは今回の受賞を追い風に、国内外の医療機関への導入を進め、東北発の医療AIとして放射線治療の格差解消とがん治療の質向上を目指す方針だ。

ピックアップ記事

関連記事一覧