次世代炭素材料「GMS」の量産工場着工へ!株式会社3DCがNEDO採択と資金調達で24.5億円を確保
株式会社3DC(宮城県仙台市)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU事業)」におけるPCAフェーズ(実証化研究開発・後期)への採択と、シリーズAラウンドの1stクローズにより、総額24.5億円の資金を調達したと発表した。
株式会社3DCは、東北大学で開発された次世代炭素材料「Graphene MesoSponge®(GMS)」の社会実装を目指して2022年に設立されたスタートアップ企業。GMSは、電子・イオン導電性、耐久性、構造制御性に優れた炭素材料で、主にリチウムイオン電池における導電助剤としての活用が見込まれている。
同社は2024年2月より、リチウムイオン電池向け導電助剤GMSの出荷を開始。現在、国内外の電池メーカーとともに性能評価や実証試験を進めており、今後は電池容量換算で3GWh相当分の供給を目指すという。
また、GMSは導電助剤用途にとどまらず、シリコン炭素複合負極(Si/C)の足場材としての応用も期待されていることから、製品化に向けた応用開発も進行中だ。
今回の資金調達では、NEDO DTSU PCAフェーズにおいて今後3年間で最大10億円の助成金が交付されるほか、第三者割当増資により8社から計14.5億円の出資を受けた。リード投資家はANRI株式会社(東京都港区)。このシリーズにより、同社の累計エクイティ資金調達額は25.2億円、累計助成金獲得額は28.1億円となり、合計で53.3億円に達した。
調達資金は、世界初となるGMS量産工場の建設費や設備投資に加え、研究開発、人材・供給体制の強化、海外パートナーシップの推進などに活用される。新工場は岐阜県土岐市にある高砂工業の旧工場建屋を転用し、2026年末の稼働を予定している。
なお、GMSの研究テーマ「新炭素材料GMSを用いたリチウムイオン電池の電極プロセス革命〜炭素とスラリーを制する者が電池を制する〜」は、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」にも採択済み。同テーマのもと、事業パートナーと連携し、製造高度化を目的としたデータ駆動型アプリケーションの開発も進められている。