地方を活性化するリモートワークの仕事とは?

 働き方の多様化が進むなか、今後も活用が見込まれる「リモートワーク」。

 リモートワークとは、その名の通りオフィスから離れた場所で働くことです。「ノマド」や「テレワーク」といったほとんど同じ意味の言葉も注目を集めてきました。政府も「テレワーク・デイズ」を実施して啓発活動を行うなど、導入が急速に進んでいます。

 リモートワークを導入することで、労働者は場所的にも時間的にもフレキシブルに、自分のスキルを活かして働くことができます。また、会社側にとっても固定費の削減や有為な人材を獲得しやすいというメリットがあります。 特に人材不足に悩む地方の企業にとっては、リモートワークの導入が今後非常に重要となるかもしれません。リモートワークを導入すれば、副業先を探している都会で働く高スキルの人材を獲得しやすくなるからです。

 また、地方在住の労働者にとっても、職種の選択肢が増えたり、給与水準が上がったりと良い面があります。 現在では、クラウド化やグループウェアの活用が進み、オンサイトではなくても仕事に関する情報の共有がしやすい環境になっているため、リモートワークのハードルはどんどん下がっている状況です。

 では一体どのような職業がリモートワークに適しているのでしょうか。

リモートワークはどんな職業でもできる?

 リモートワークが適している職業といえば、ITエンジニア、デザイナー、編集者・ライターなどのクリエイティブ職が有名です。これらの職業に共通しているのは、基本的にどこの場所にいたとしても作業効率が下がらず、同じ仕事ができること。他にもいくつか特徴があるので見ていきましょう。

 (1)「成果物がわかりやすい」

 これらの職業は「ソースコード」「デザイン」「記事」など、目に見える成果物があります。形があるものなので、評価もしやすく、電子データという形ですぐに共有することも可能です。

 (2)「個人作業の割合が高い」

 仕事を個人で進める場面が多いという特徴があります。共同作業では、打ち合わせ場所などが必要となるため、共同作業者が遠く離れている場合は移動費などのコストがかかります。しかし、これらの職業はチャットツールや電話などで十分に情報を交換できます。

 (3)「時間の管理がしやすい」

 会社として労働時間を管理しやすい職業です。接客などで仕事時間が分断されるようなことがほとんどありません。

 (4)「仕事に使用する道具が少ない」

 PCと開発環境があれば、あとはほとんど道具が必要ない職業です。あったとしても持ち歩きが可能なものばかりで種類もそれほど多くありません。

 つまり、PCを中心とした機器を利用してやりとりを行えば、問題なく仕事を終えられる職業がリモートワークに向いているということになります。

 ただ、現在では、企画戦略を立案するマーケターや実際に顧客と接する営業・広報、経理をはじめとするバックオフィス業務にまでリモートワークを導入している企業があります。情報共有が容易になったことで、出社しなくとも情報管理できるためです。 リモートワークはホワイトカラー層の多くの業務においてできるようになりつつあるといえます。

リモートワークに必要なスキルとは

 リモートワークに興味がある人にとって、いま自分が保持しているスキルでリモートワークができるのか、できないのか、ということもひとつ気になることだと思います。上記でご紹介した職業は、プログラミングやデザイン、ライティングなど専門的なスキルを必要とする職業ばかりで、仕事に関する基本的な専門スキルを持っていたほうが有利という側面は確かにあります。

 しかし、ライティングなどはそれほど専門性が高くなく、未経験から始められる求人も多数あります。プログラマーなども、プログラミング留学などで基礎を身につけ、企業に就職した後ですぐにリモートで働いている例もあるため、企業の制度と本人の覚悟しだいで、スキルを身につけた後すぐにリモートワーク可能な環境を手に入れることはできそうです。

 リモートワークをする際には、仕事をこなすうえでの基本的な能力の取得が大前提となります。周囲に同僚がいないため、自分の力で物事を解決する場面が増えるからです。

 そして、リモートワークに欠かせないスキルがあります。それは、「セルフマネジメント能力」と「取引先と良好な関係を構築できる能力」です。

 前者は作業効率に直結していきます。周りに監視の目がない場合、だらけてしまい作業が思ったように進まない可能性があるからです。チャットツールやWEBカメラで管理されていることがほとんどですが、そういうものがない場合は誘惑に負けない精神力が重要となってきます。

 後者に関しては社会人基礎力やコミュニケーション能力と言い換えてもいいかもしれません。対面でコミュニケーションをとれないぶん、相手の感情を読み違えたり、ニュアンスなどが伝わりにくくなったりする場面はどうしても出てきます。そうした場面で適切に対処していけるかどうかが問われます。 その他にも、副業で行う場合は、自分を売り込むセルフプロデュース能力も必要となるでしょう。

 社会人として普通に働いた経験がある人であれば、リモートワークをできる資質は十分にあるとみていいのではないかと思います。リモートワークをする際には、自分のスキルの棚卸をした上で、足りない能力を身につける訓練をしていきましょう。

リモートワークと地方

 リモートワークは結婚や出産などによるライフスタイルの変化に強く、仕事をする場所も自宅、カフェ、コワーキングスペースなど基本的にどこでもOKです。もちろん、その場所には「地方」も含まれています。都会で行っていた仕事を継続しつつ、地元で暮らしている人々も今では多くいます。このような暮らし方を可能にするという意味でも、リモートワークの普及が地方に大きな恩恵をもたらす可能性は高いといえるでしょう。

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