民間宇宙スタートアップ企業のAstroX、高度10km級ハイブリッドロケットの発射実験に成功
宇宙輸送技術の開発を進めるAstroX株式会社(福島県南相馬市)は、11月9日に福島県南相馬市沿岸部で高度10km級のハイブリッドロケット「FOX1号機/C1-2ロケット」の発射実験を行い、成功させた。
同社が開発中の「ロックーン方式」に向けた重要な一歩となるこの実験には、一般見学者約400人が訪れ、ロケットが空高く打ち上がる様子を見守った。
「ロックーン方式」のロックーン(Rockoon)という名前は、ロケット(Rocket)と気球(Baloon)を組み合わせた造語である。その名前の通り、気球でロケットを成層圏まで運び、そこから空中発射する仕組みで、従来の地上発射方式に比べて低コストでの衛星軌道投入が可能とされる。
今回の実験では、全長6.3メートル、直径330mmの「FOX1号機/C1-2ロケット」を使用し、AstroXと千葉工業大学が共同開発したハイブリッドロケットエンジンを搭載した。このエンジンは、固体燃料と液体酸化剤を組み合わせることで、爆発のリスクを低減させ、火薬を使用しないため取り扱いや管理が容易となり、コスト削減にもつながるとされている。
同機体は、8月に行われた実験からさらに大型化され、将来的なロックーン方式によるサブオービタル規模のロケットとして開発された。今回の発射実験では、エンジンの推力が地上から高度10kmまで到達することを確認。同社にとって、ロックーン方式での空中発射に必要な技術の信頼性を高める成果となった。
今回の発射実験成功により、同社はハイブリッドロケット技術とロックーン方式の実現に向けた重要なステップを踏み出した。空中発射技術のノウハウを蓄積することで、今後はさらに高度までロケットを打ち上げることが期待される。