【連載企画/第4回】東北最大級のIT&ゲームコンテスト『DA-TE APPs!2020』 仙台国際センターで6回目の開催!仙台からネクストイノベーションを生み出すべく、東北学生たちが起業の登竜門に挑む!
東北最大級のアプリコンテスト『DA-TE APPs!2020(ダテアップス2020)』が2月24日、仙台国際センターにて開催された。今年で6回目の開催となるDA-TE APPs!は、Global Lab SENDAI(グローバルラボ仙台)と仙台市、仙台市アプリコンテストDA・TE・APPs!実行委員会の共催で行われている。学生たちはITコンテストとゲームコンテストの二つの部門に分かれ、チーム毎に半年間かけて開発したアプリを審査員に向けて発表した。連載企画最終回の今回は、コンテンツが盛りだくさんなコンテストの一部始終を最大限お届けする。
それぞれの課題意識がサービス提案に繋がったITコンテスト
前半のITコンテストでは、身近な課題をITで解決するサービスが提案され、4チームが熱のこもったプレゼンを行った。審査にはプレゼンだけでなく、審査員が実際にアプリを使用しての評価も含まれる。トップバッターの全脳アーキテクチャ若手の会は、家にある食材の鮮度からレシピを提案してくれる「Recipe+」をプレゼン。フードロスに貢献するこのアプリは、レシピ提案のアイディアとして仙台市内にある二店舗の料理店と既に提携が決まっている。
続くsnoopは、どこでもグループワークを開催できる「setsuna」を提案。地方と都市の就活格差に問題意識を持ち、グループワークの機会創出という課題にアプローチした学生ならではのアイディアだ。審査員からは他己評価が得られる点が評価されつつも、企業と学生目線の評価の違いについての鋭い指摘もあった。
一方、前回王者のFishersが提案したのは、飲食店やアパレル等で働く従業員のモチベーション管理を行うアプリ。顧客エンゲージメントが重要となる業種をターゲットとしており、今後市場規模の拡大が見込まれるHRテックの領域を狙ったサービスだ。最後は、hogehogeが開発した「Mecrn」。動体検知の使用によって、一定のポーズでデバイス上の本のページ等をめくることが可能になり、審査員からは身近な課題の解決に向けてどのようにサービスを役立てられるか考えてほしいとフィードバックがあった。
最先端を走る大人たちが若者に背中を見せる
さらに、ITコンテストでは特別審査員によるトークセッションが開催され、「仙台が注目されるICT都市になるために」をテーマに、自由に意見が交わされた。仙台では着実にコミュニティが増えている一方、そこからしっかりとアウトプットを出すことの必要性に加え、大人が新しいものを創り出していくことで若者に背中を見せることの大切さが語られた。また、周りでチャレンジしている大人たちに積極的にコンタクトを取ることの重要性も挙げられ、「誰もが稼げる時代になっているため、どんどんアクションを起こして今のうちから失敗を経験してほしい」とコンテストに出場した学生たちに向けて力強いメッセージが送られた。
ITコンテスト部門:最優秀賞は東北大学のFishersが提案した「Sotip」
ITコンテストで最優秀賞に輝いたのは、東北大学のFishersが提案した「Sotip」。Fishersは今大会で3年連続の最優秀賞受賞となり、見事3連覇を果たした。従業員のモチベーション管理の課題にアプローチしたこのサービスは、顧客を巻き込むという発想を始め、ビジネスとしての将来性やマネタイズがしっかりしている点が高く評価された。最優秀賞のFishersには、賞金30万円と共に副賞のTSUKUMO賞とASUS賞といった豪華賞品が贈られた。審査員からは、各チーム共に指摘された課題を受けてさらにサービスをブラッシュアップしてほしいとコメントがあり、半年間の学生たちの努力を称えると共に、今後に向けてのエールを送った。
各チームの想いが込められたゲーム作品を披露
後半のゲームコンテストは、フリー部門とGLS for Education部門の二つに分かれる。フリー部門はゲーム業界で活躍中の審査員によって審査が行われ、学生たちが1年間かけて開発したゲームを披露した。東北電子専門学校は、12星座のキャラを使用し親子でプレイできることを特徴とした「ポコスカホロスコープス」を、総合学園ヒューマンアカデミー仙台校は、チームでの連携プレーを促す「Drei Punkt」を開発。
また、国際情報工科自動車大学校からは2チームが参戦し、グラフィックに凝ったキャラが特徴的な「星ホシイ」や笛を吹く楽しさを表現した「ハーメルン」を発表した。審査員からは、「ゲームにまず触れてもらうことが重要で、圧倒的な魅力が必要」「誰に向けてゲームを作っているかを考慮し、グラフィックを再考する必要がある」といったフィードバックがあり、プロの目線から本気で評価し、学生たちの作品に真剣に向き合った。
ビジネス性が試されたリアルな勝負の場
GLS for Education部門では、仙台市内のゲームを学ぶ専門学校・大学から選抜されたチームが仙台のゲーム企業の指導を受けながら半年間かけてスマホゲームを開発。昨年同様、仙台市とネットワークを持つフィンランドのオウル市からも今年は3チームが参戦した。審査は実際に配信したゲームの収益率が対象となり、海外の5か国で1週間集計が行われた。
GLS for Education部門に出場したのは全6チーム。伊達政宗のキャラも登場し、忍者を宝物や目標に導くゲームを開発した東北大学チームの「Popping Ninja」や、総合学園ヒューマンアカデミー仙台校の制限時間内により多くの建物を破壊する「Building Crash」、東北電子専門学校が開発した2Dパズルゲーム「Luminous」など、魅力的なゲームが散見された。一方、フィンランドからはオウル応用科学大学の3チームが参加し、爆弾を仕掛けて破壊する「Boom!」やアイスブロックを使ったパズルゲームの「Ice on the Line」、バンパーカーを操作するアクションゲームの「Bumper Impact!」など、現地からオンラインで披露した。
令和時代に新しいゲームの在り方が生まれる
ゲームコンテストでもITコンテストと同様に、特別審査員によるトークセッションが行われた。「xR、5G、SaaS-令和時代のゲームの形とは?」をテーマに、ゲーム業界で活躍する5名の審査員がざっくばらんに意見を交わした。近年、技術の進歩は凄まじく、ゲーム業界でも様々な変化が起きている。今後5Gによって通信速度が向上し、大容量のデータ通信が可能になることで、次々に新しい遊びが生まれ始めるという。また、ゲームに関する話題だけでなく、働き方改革などの現在ホットな話題についても言及し、参加者にとって非常に見応えのあるトークセッションとなった。
地道な努力の成果が最優秀賞受賞に繋がる
フリー部門で最優秀賞を勝ち取ったのは、「Drei Punkt」を開発した総合学園ヒューマンアカデミー仙台校のチームだ。審査員からは「作品として良くできていた」「3人でプレイする面白さに惹かれた」などのコメントがあり、面白くなるまでゲームを練った心意気が高く評価された。一方、GLS for Education部門では「Building Crash」を開発した総合学園ヒューマンアカデミー仙台校が最優秀賞となり、2連覇を達成。破壊する気持ち良さが今のトレンドに合っており、ゲームの継続率を高めたのではないかと審査員が分析した。受賞した学生からは、これまで指導を受けたメンターへの感謝の気持ちが語られ、試行錯誤を重ねた努力の成果が受賞に繋がったようだ。
仙台をネクストイノベーションが生まれる都市へ
今年で開催6回目を迎えるこのイベントには、多くの企業や教育機関が関わっており、東北の学生たちにとって大きな挑戦の場となっている。ITコンテストでは各チームに地元企業のメンターがつき、半年間にわたって学生たちがサービスの開発に取り組んできた。学生のうちから最先端で活躍する企業や大人と接点を持ち、失敗を繰り返しながらもビジネスマインドを学べる機会は、東北にはまだまだ少ない。しかし、ここ仙台にはアクションを起こし、チャレンジを続ける企業や大人たちが着実に集い始めている。DA-TE APPs!は彼らと東北の学生を繋ぐ場を提供し、今後も仙台及び東北にイノベーションを生み出す足がかりとなるに違いない。
『DA-TE APPs!2020』イベント概要
■開催日
2020年2月24日(月祝)
■主催
Global Lab SENDAI、仙台市、仙台アプリコンテストDA・TE・APPs!実行委員会
■協力
仙台ゲームコート
■トークセッション登壇者(敬称略)
〈ITコンテスト部門〉
モデレーター
佐藤将太(ゼロワ株式会社)
パネリスト
三嶋順(アンデックス株式会社代表取締役)
千代田まどか(マイクロソフト株式会社 マイクロソフト・コーポレーション クラウド・ディベロッパー・アドボケイト)
南條融(楽天株式会社 ECビジネスエンパワーメント課シニアマネージャー)
古山隆幸(株式会社イトナブ代表取締役 兼 一般社団法人イトナブ石巻代表理事)
篠原敏也(株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Manager、 グローバルラボ仙台 元GM)
〈ゲームコンテスト〉
モデレーター
末永拓也(株式会社イード)
パネリスト
松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役)
大橋修(株式会社セガゲームス上席執行役員クリエイティブオフィサー)
根岸豊(株式会社コナミデジタルエンタテイメント 制作支援本部 主幹)
寺田美絵(mspo株式会社代表取締役)
金子篤(株式会社ピコラ代表取締役)
■コンテスト出場チーム
〈ITコンテスト 課題解決型サービス部門〉
全脳アーキテクチャ若手の会(東北支部)
snoop(enspace)
fishers(東北大学)
hogehoge(東北大学)
〈ゲームコンテスト フリー部門〉
東北電子専門学校
総合学園ヒューマンアカデミー仙台校
国際情報工科自動車大学校(1チーム目)
国際情報工科自動車大学校(2チーム目)
〈ゲームコンテスト GLS for Education部門〉
東北大学
総合学園ヒューマンアカデミー仙台校
東北電子専門学校
その他、オウル応用科学大学(フィンランド)から3チームが出場
■公式ウェブサイト
http://dateapps2020.mystrikingly.com/
前回(第3回)記事はこちら
協力:グローバルラボ仙台